東京タワー 江國香織

東京タワー (新潮文庫)
は映画化もされた有名な作品です。

年上の既婚女性と交際をする2人の大学生、透と耕二、の視点からその恋愛を描いています。人付き合いが苦手で一人でいることの多い透は母親の友人でもある、どこか現実ではない世界に生きているような詩史に思考を奪われ、行動的で軽薄ともいえる耕二は喜美子との暴力的な性関係に引き込まれていきます。

以前に読んだときは透と詩史の関係に親近感を覚えましたが、二度目の今回は耕二と喜美子の関係の方が理解できました。

正直にいって詩史は卑怯だと思います。彼女はお互いの好みや趣味などを共有する話はしますが、基本的には透に喋らせます。そして「一緒に住めなくても一緒に生きることはできる。私にとっては一緒に生きることの方が大切」みたいなことを言って透と暮らすことを拒否します。彼女が夫よりも透を好いていることはわかりますが、一緒に暮らせない理由は語りません。そのような現実的な生々しい話を彼女は一貫してしません。まるで彼女が営むセレクトショップのように、作られた空間で会話をしているかのようです。

それに比べて耕二と喜美子の関係では、やはり同じように現実的な話はしません。お互いに作られた関係であることを理解しています。けれども間にある感情はこの上もなくリアルです。愛憎と言えるかもしれません。こちらの方がよほどわかる。

もしかしたら女性、特に既婚者、は詩史も喜美子も理解できるのかもしれません。ただ読んでいて自分も現実的な、大人の男性になってきたんだなとある種の誇らしさと悲しさとつまらなさを感じました。こうやっていくつかもの感受性を失って成長していくんですね。
映画の方もどうぞ 東京タワー プレミアム・エディション



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